Friday, 24 August 2012

給息

先週は古いT.S.エリオットの詩集がベッドサイドにあり、今週はこれが本棚から引っ張り出されていた。どちらも夫が長いこと愛読している本だ。
妻はそれを見て”心底疲れているんだな”と思う。

私は心身の"心"が疲れているときはとりあえずウォールデンを開いてみる。
どのチャプターでもいいけれど、たいていSolitudeを読む。
数行読むうちに、落ち葉や枝を踏みしめて歩くソローの幻のような姿や、焚き火のたてるパチパチという音や、前髪からぽたぽたと落ちる雨粒や、漆黒の夜とそこに瞬く星たちや、またはきらきらとした木洩れ日が頭に浮かんでくる。それは波に身を任せる感覚に似ている。言葉が脳みそに染み込むままにし、ゆらゆらとその書き手の世界に漂う感じだ。そして、あ、治癒したな、と思う。
つい忘れがちなことを、また思い起こさせてくれたな、と。
私にとってウォールデンはそんな本だ。

心身ともにへとへとになってエンジンが切れかかっている夫と、時間が許すならこの週末また散策に行こうと思う。気分転換にと15分でも時間があればただ歩きに行く人なので、きっと喜ぶだろう。

休息が必要な人の給息だ。
私もしばし給息するとしよう。

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