イギリスに来ていなかったら、おそらく今頃古い家を捜し求めているか、買っているか、借りて住んでいたことだろうと思います。
縁側があって、障子があって、できれば台所は土間で、改築する前の祖父母の家みたいに五右衛門風呂のある家がいいなってずっと思っていました。 今は伯父夫婦のみが住む祖母の家を見上げると、すーっと渡っているりっぱな梁。あんな梁のある家に住むのが30を過ぎてからの夢のひとつでした。
今借りている家は古いことは古くて、だから天井なんかも高いんだけど、間取りが気に障って(笑)なかなか好きになれない。 私だったらこうリフォームするのに、大家さんは住んでみたことがないからわからないんだって思います。
家を買うのは投資。お金のある人は適当な不動産をいくつも手に入れ、必要であれば(たいてい必要だと思いますが)工事し、人に貸す。住み心地重視というより、見た目とエリア重視なことが多いように思います。
一般の人でも家を買うのを投資と考える人は少なくないようです。家賃を払うくらいなら住宅ローンを払った方がいいというのです。まずは手の届く小さい家を買い、住みながら手を入れていってそれを売り、次はもっと大きな家に住むという、出世引越し。うちの隣人さんもまさにそれだったみたいで、引っ越していきました。おかげで今度は常識ある新しい隣人さんが越してきてくれてヨカッター!あ、つい本音が出てしまった。
こんなことをつらつら書いているのは、昨日見たTV番組の影響です。
Grand Designsという今期で12シーズン目を迎えるチャンネル4の長寿番組があるのですが、これは「ええっ??」というような建物を大改装して住みかにする人たちや、ユニークなデザイン、スタイル、建築方法で家を建てる人たちの数ヶ月、または数年(!)を追うドキュメンタリーのようなショー。
いかにもイギリスらしいなあと思うのは、海辺のボートハウスや野原にぽつんと建つ使われていないwater tower(宙に浮く貯水タンクのようなもの)を朽ち果てさせたくない、救いたいという思いでそこを家にすることに決めた人たちがいることです。これまで数えるほどのエピソードしか見たことがないから一概には言えないけれど、登場するのはたいてい中年以上の夫婦。よくぞご夫婦でそんな思いをつらぬき通しましたねって感心するやら放心するやら。
昨夜はGrand Designの後にGeorge Clarke's Amazing Spacesという番組があり、疲労で動くのが面倒だったため(笑)その番組も見てしまいました。
一番興味を引かれたのは、こちら。 ロンドンの地下にある、使われずに廃墟となっている公衆トイレを購入(!)し、改装して住んでいる女性のご自宅!
彼女がそこを改装しようと思った理由が「見捨てられ、忘れ去られている場所を救いたかった」というもの。彼女の装い、インテリアのセンスやディスプレイの仕方からして、artyな人だというのは明らかなのですが、もとトイレだったとは思えない、なんて言葉が余計に思えるほど普通に素敵。
こういう番組を見ていて思うのは住まいを決める上で何が大事かというのは本当に人それぞれなんだなってことです。いろいろ参考にもなるし、インスピレーションにもなって楽しいです。
間取りが気に入らないって不満を抱え続けるより、借家だから仕方ないってあきらめる前にもっともっと工夫する余地はあるはずだって思えてきました。気の持ちようなんですよね、ようは。
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