Thursday, 13 January 2011

ヒューのフィッシュ・ファイト

まずこのビデオクリップをごらんくださいませ。

これはイギリスの漁船で日常的に行われるdiscardingと呼ばれる行為です。
1本釣りのようにターゲットの魚に狙いを定めたものならともかく、網で一気にまとめて魚を捕獲する場合、当然目当ての魚以外にもたくさんのものが網に入ってきますよね。
それをどうするかというと、そのまま海に投棄するのです。
魚はすでに死んでいます。
それが上の映像。
その割合は全体の漁獲高の約50%。まさに半分。
けっこう衝撃的な数値です。
「なんでそんなことするの?!」と思ってしまいます。
ですがこれには漁師さん泣かせの事情があったのです。

EUの共通漁業政策という私にとってはまったくなじみのない言葉、ヒュー・ファーンリー=ウィッティングストールのHugh's Fish Fightという番組で知りました。
この政策(Common Fisheries Policy)の漁獲管理の部分が、このドキュメンタリーで問題視されたことのひとつです。

例えばイギリス人はcod(鱈)が大好き。
フィッシュ&チップスのお店では注文はcodがダントツ人気なんだそうです。
それで鱈の数は激減し、科学者達はこのままでは鱈が絶滅してしまうと警笛を鳴らしたのです。
十分な数が戻るまでは、鱈を捕ることを控えねばならぬと。
当然です。
そこまでして資源を食い尽くす私たち人間ってなんなんだろって思ってしまいます。

ところで北海で漁をする漁船に乗り込んだヒューが見たものは、後から後から網にかかる鱈。
とても大きな鱈さんもたくさんありました。
しかし漁獲管理の法律があるので、鱈を持ち帰って売ることのできる量はごく限られています。
それでどうするかというと、海に投棄するのです。
生きていればいいけど、すでに死んでいるものを、です。

小さすぎる魚もたくさん網にかかります。
網目の大きさを調整すればいいではないか、と誰だって思いますよね。
すでにそれは試されていますが、そう完璧にコントロールができないというのが実情のようです。

それからもうひとつ、多くの種類の魚が、需要がないという理由で投棄されます。
イギリス人は魚に関して本当に食わず嫌いが多い。

ジェイミー・オリバーもChannel4の魚強化月間に参加しており、
「もっといろいろな種類の魚を食べよう!」
と多くのイギリス人にとってなじみのない魚を使ってさまざまなレシピを披露していました。
そして私が注目したのはDabと呼ばれる魚。ジェイミーが
「この魚はねー、Dabっていうんだ。誰も食べないから網にかかっても海に投棄されちゃうんだよー。」
とひらひら見せていたのはどう見てもカレイ。
すぐに息子の小学館Neo魚図鑑で探したところ、マコガレイでした。
ぬぬぬぬぬ、カレイの唐揚げ、どれだけ恋しかったことか。
あるんじゃん、捕れるんじゃん、北海でも。

話がそれてしまいましたが、Hughが訴えたいのは、環境保護はもちろん重要だけれど、すでに網にかかって死んでしまった魚を漁獲管理のせいで海に投棄するということがイギリスや他のEU加盟国の漁船で起こっている以上、なにかしらの改善策が話し合われるべきだ、そして願わくば、法律の改正が行われて欲しいということだと思います。
それで、このようなウェブサイトを設けて、人々に署名を訴えているのでした。

ヒューの番組では他にもイギリス人の大好きな魚、鮭のことも取り上げられていました。
絶滅が危惧される魚のひとつです。
それからツナ缶についても、グリーンピースの人と協力して調査を行っていました。
この2点についても後日、postしたいと思います。
私の叔母などはめんどくさくて読みとばすかもしれないなー。

でもね、日本人だって無関係ではないのです、魚の過剰捕獲はね。
マグロ、捕り過ぎ。
捕鯨と同じくけっこう厳しく批判されておりますよ、こっちのメディアでは。。。

最後に一言。

イギリス人よ、
もっといろんな魚を食べるんだ。

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