ポートエレンの灯台 |
今回の旅の最大の目的はアイラ島でシングルモルトウィスキーの蒸留所をまわること。
村上さんの旅行記が書かれた当時は7つだった蒸留所も今はキルホーマンを加えて8つになっています。当初はコテージを借りて1週間滞在する予定だったのですが休暇の日程が合わず、B&Bに3泊4日に変更。蒸留所も3つにだけ予約を入れて出発しました。
ですがいざ着いてみると、アイラ島の美しさにすっかり魅了され、蒸留所めぐりも2つにとどめてとにかく時間の許す限り島をまわりました。アザラシのコロニーがあったり、ノロジカいたり、お腹全体の白いミヤコドリがいたり、あちらこちらに野うさぎがぴょんこぴょんこ跳ねていたり。残念ながら見れなかったけれど、ラッコやイルカ、鷲や、夏にはパフィンも見れるのだそう。確かに村上さんの本にも動物がたくさんいるとは書いてあったけれど、その辺は字面だけ追ってそれほどイメージができていなかったので、想像を越えた島の自然の豊かさにびっくりしてしまったのです。
到着した日の午後、宿泊先でチェックインをすませて海岸への散歩に出かけた私たち3人。小石のごろごろしているビーチを、貝殻をひっくり返してみたり、どうやら最近産み落とされたばかりらしい鳥の卵を発見したりしながらひたすら歩いていると、突然バサバサと轟音が。
何が起こったかわからないまま呆然と首を90度傾けて空を見上げる私の真上を、何百羽という鴨が飛んで行ったのです。
羽を大きく広げたその雄大な姿と行ったら…
あの数秒間で、私はいっぺんにアイラ島に恋してしまった気がします。
鴨だと思っていた鳥の大群はグリーンランドから越冬しに来ていた雁だったということ、彼らが飛び立ったのは何気なく近づいた夫に驚いたからだったということ、「見た?!今の見た!?」と数百メートル離れた夫にジェスチャーで感動を伝えていた私に微笑みながらも実は「鳥に糞でも落とされたのかな?やべえな。僕のせいで飛んだんだとわかったらおかんむりだぞ。」と彼が考えていたことなどが後からわかったわけですが。
とうわけで、ウィスキーは大好きだけれどそれについて云々語るほど詳しいわけではない私が世界レベルのアイラのシングルモルトについて語るのはおいといて、今回撮った写真をちょっとだけ載せながら旅日記にしたいと思います。
タイトルにした天使の取り分(天使の分け前でもいいのですがこちらの表現の方がなんとなく好きなので改題)というのは、ウィスキーなどのお酒が樽の中で熟成している間に蒸発する、アルコールを含んだ水分のことです。ブルイックラディー蒸留所のガイドさんが、アイラの人々がいつも幸せそうなのは、空気中にこのAngel's Shareがたくさんあるおかげだと言う人もいると語っていました。
もちろん、グラスを傾けて飲むスモーキーで芳醇なドラムのおかげもあると私は思うのですが。
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