Thursday, 24 July 2014

リスボン 人

デコラティブな天井とアズレージョ(タイル)を施した壁が素敵なカフェ
また行きたいかと聞かれたら

絶対に

と答えます。
 地元のみなさんでいっぱいの食堂。バカリャウ(ポルトガルのソウルフード?塩漬け鱈のこと)のコロッケとビールを注文し、そのままカウンターで立ったまま食べた。こういったおつまみ程度のものだけでなく、ちゃんとした食事をカウンターでとっていた人も。
塩漬け鱈のかき揚げといった感じのこのPataniscas de Bacalhau。お醤油ほし〜と思っていたらテーブルにキッコーマンの瓶が!さすが!!
リスボンではどんな食堂やカフェに行っても、必ずちゃんとしたエスプレッソマシーンがあった。一杯50セントか60セントくらいなんだけれども、なかなかおいしいのだ。エッグタルトはだいたい一個€1くらい
スーパーで確か90セントくらいだったお塩。ゲランドのお塩みたいにグレーがかっている
市場の入り口付近にぽつねんとある計り。クリーム色のタイル好きだな 
レトロ市電28番線車内。芋の子を洗うようでしたが、終点間近になりようやく人がいなくなりました
『深夜特急』を読んで浮かんだリスボンのイメージは坂、港、ファド、それからいわし!
歩いて歩いて、いわしを食べて、海を眺めてファドを聴くのだけを求めて訪れましたが、海は時間が足りなくて行けず、ファドは聴きに行かずじまい。
だけれどもいわしの塩焼きは期待を裏切らないおいしさだったし、街歩きはこの上なく楽しく、古びていてエキゾチックなアルファマの狭い路地と迷路、またその眺めは思い描いていたリスボンを凝縮したようでした。アルファマの次に好きなのがおそらくリベールダーデ通りとグルベンキアン美術館。レンブラントやマネの絵画を心ゆくまで鑑賞できてとても満足。ベレンの有名なエッグタルトはさすがにむむっ!とうなってしまうようなおいしさだったけれど、実はどこのエッグタルトも文句無くおいしかったのです。

でもなんといってもリスボンで一番よかったのは、人でした。

気前よくサービスしてくれたお店の人たち、ポルトガル語が話せない私に身振り手振りや筆談で一生懸命に応じてくれた食堂の人や、そこでお手伝いしていた10 歳前後の姉弟らしき子供達。道に迷って通りがかりの人に尋ねるたびに、どの人も立ち止まって真剣に地図を見てくれたり、または「ついて来て。そこまで一緒に行ってあげる。」と反対方向であるにもかかわらず目的地まで一緒に歩いてくれたり。

どうしてもプリントアウトしなければならないものがあり、目についたホテルに入ったら無料でコンピューターを使わせてくれた上にプリントアウトまでしてくれたり。なかなかうまくいかなかったのに嫌な顔ひとつしないどころか、申し訳なさがる私に”全然気にしてないし、これくらいのサービスは当然”といった雰囲気。

それから一番びっくりしたのが、アパートの屋根裏部屋から携帯電話をとてつもない場所に落としてしまったのに、見知らぬ人が助けてくれたこと。
ある夕方、どこからか聞こえてくるトイピアノの音色と窓から見えるアルファマの眺めとがあいまって不思議で幻想的な瞬間がありました。そんな光景を夫にも見せたくなってビデオを撮っていたら手が滑りあっと言う間もなく窓の外に落下してしまったというまぬけさ。我ながらわりと冷静に「どうにもならないけどどうにかしなくちゃな。」ととりあえず外に出て思案していると近くで掃除をしていた女性が声をかけてくれ、お互いに相手の言葉が話せないものだから身振り手振りでなんとか事情を説明。彼女が近くにいた男性二人に何か話して、さらに彼らが私のいたアパートの隣人に何事か聞いてくれ、私は何がなんだかわけのわからないまま事の成り行きを見守っていました。すると女性と二人で携帯電話の落下したあたりを見に行っていた男性の一人がどこからか延長梯子を持って来てアパートの裏手にまわり、あまりの高所に冷や冷やしながら見ていた私の心配をよそにひょいひょいと梯子を登り、危ない足場もなんなく歩いて携帯電話を取って来てくれたのです。
感激のあまり涙せんばかりになっている私に「なんだい大げさだな〜、当然のことをしたまでだよ。」といった感じの3人。私の存在などもう忘れてしまったかのようにさっさとどこかに行ってしまいました。

この恩人さんたちもそうなのですが、リスボンの人はおしなべて自然体で親切でした。相手が行きずりの旅人だからとか同胞だからとかそれで態度が変わるわけでなく、根っから面倒見がいいみたい。面倒くさいなどと思わないようなのです。ポルトガルの首都であるにもかかわらず、なんだか街全体が下町のような雰囲気。話し好きで親しみやすく、さっぱりした人が多かったような気がします。

今回はあえて載せなかった観光スポットもよかったけれど、やはり私が一番好きなのは街歩き。街を歩けるだけ歩いて人と言葉を交わしたりお店を冷やかしたりするのが何より楽しいと感じました。
だけれど今回行けなかった海辺やシントラやレストランに次はぜひ行きたいです。今度はもう少し涼しい時に、もうちょっとポルトガル語も覚えてから。。。

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