Thursday, 6 September 2012

本日のつぶや記

お隣のラーメンさんは朝9時過ぎると、決まって音楽を大音量で聴き始める。

曲目はたいていロック。でもその毎朝の儀式も1曲か2曲分だけ続く。その後はまたピタリと音が消える。普段は物音ひとつしないくらい静かな隣人たちなのだ。

”たち”というのは、ラーメンさんにはハウスメイトがふたりいて(20代くらいの若い女の子ふたりで、どうやら彼女達はカップルのようだねと私と夫は察しをつけている)、合計3人でシェアしているようなんだけれど、ラーメンさん以外の声はほとんど聞こえてこない。時々パーティーみたいなことをして夜中まで笑い声が聞こえてくることもあるけれど、そんなことはお互いさまなので気にならない。
とにかく、面倒な近所付き合いもなければ迷惑をかけられることもなく、私にとっては言わば理想の隣人さんたちだ。

でもそんなラーメンさんも、時々困った人になる。娘らしき小さな女の子が数日泊まりに来ている時は、朝っぱらから彼女のヒステリックに泣き叫ぶ声と、ゆゆしき事態をなんとかしようとしているのかそれ以上にハイテンションに叫びまくるラーメンさんの声で狂騒曲二重奏が奏でられ、かなり忍耐力を試される。 また、近所の改装工事が夜の10時過ぎまで続いた時は、窓を開けて ”もう10時だぞ、shut the XXXX up!” と叫んだり、誰かの飼っている犬が吠えていた時は、ドアを開けて ”SHUT UPPPPPP!!!!” と近所中に響くほど叫び、すぐさまドアをバタンと閉じるなど、影で怒鳴るのだ。(我が夫も時間外の改装工事の騒音などに黙って耐える人ではないんだけれど、彼の場合、窓から怒鳴るなどせずサッサと直接苦情を言いに行くタイプ。明日早くてもう寝なきゃならないんで、音は出さないでくれるかなーって。そうすると、相手もあっさりわかってくれる。)

私は個人的に犬の1匹や2匹がどれだけ吠えようともまったく気にならない。ラーメンさん達が放し飼いにしている5匹の猫の糞害と、悪臭と、物干しロープにつく毛の方がよっぽど困る。ウチの物置の屋根でカリカリカリカリ体を掻くもんだから、蚤が洗濯物についていたこともあって、これには閉口した。仕方ないので最近はそこにいるのを見たら立ち退いていただくことにしている。2本足の生き物に突然絶好の日向ぼっこスポットと毛づくろいの場所を追い払われるようになって、猫諸君はかなり困惑しているもよう。「何よ。アタシたちが何したっての?」という目で見られる。「ここで用を足さないで下さい。」とか、「せっかく根付いてきた苗を掘り返さないで下さい。あと、そこに生えてる苔をむしるのはやめてください。」とか猫語で伝えることができたらどんなに話が早いかなと時々本気で思う。

ところで、どうしてラーメンさんのことをラーメンさんと呼んでいるかというと、ラーメンズの片桐さんにむちゃくちゃ似ているからである。顔を間近でじっくりと見たことはないけれど、チラッと遠目に見ると、もう本人じゃないかと思うくらい似ている。

今朝も片桐さんはクイーンのボヘミアンラプソディを、壁をはさんでも歌詞がはっきり聴こえるくらいの大音量でかけて、それに負けないくらいの大声で叫んでいた。そしていつものようにピタリと無音になった。
ブライアン・メイのきゅいいい、きゅいいい、というギターを聴きながら、ああ、今日もラーメンさんがロックしてるな、と思うと、なぜだか地球が回ってることを感じるのであった。

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