Wednesday, 26 September 2012

Lawless

痛そうなのがダメな方にはおすすめしません。
イギリスでは18歳以上指定。
でもこのおいしそうな配役は期待を裏切りませんでした。

ここからはオタクのつぶや記です。
この作品の魅力はずばり、キャストだと思います。
だけどよくある、オールスターにしただけで内容がイマイチな作品ではありません。 登場人物ひとりひとりに魅力があり、全体によくまとまっていて一時も飽きさせることのない展開になっています。

トム・ハーディ。個人的に最近注目のイギリス人俳優。
『インセプション』も『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(※)も見たけど、彼だけは私の記憶にほとんど残っておりません。だけど『ブロンソン』を見たら映画以上にぶっとんだ生き様の実在の人物を文字通り体当たりで演じ切っている姿にちょっと惚れました。『ダークナイトライジング』ではほとんどマスクに隠れてましたが、悪役であっても魅力あるオーラを出していたと思います。
ガイ・ピアース、文句なく上手い俳優さん。
『L.Aコンフィデンシャル』、『ミルドレッド・ピアース』、『メメント』、『英国王のスピーチ』、『プロメテウス』、ちょっとだけど『ハート・ロッカー』や『ザ・ロード』にも出ていました。見た目とっても普通の人なんですよね。だけどさらりとその役柄そのものになっているのでまるでカメレオンみたいだといつも思います。このLawlessでは眉毛を剃り落とし、とっても個性的なヘアスタイルで一度見たら忘れられない悪人捜査官を演じてくれてます。彼の役作りにはほんとに感心しました。
ジェシカ・チャスティンも個人的に注目の女優さんです。
『ツリー・オブ・ライフ』、『コリオレイナス』、それから『ヘルプ』にも出ていましたが、本当にきれいな人。いつもきれいな人の役柄だから当然と言えば当然だけど、役柄に透明感のある空気を吹き込める人。
そのほかゲイリー・オールドマン、ミア・ワシコウスカ、シャイア・ラブーフなど、どの役者さんも主役級の豪華な顔ぶれです。

原作はマット・ボンデュラントのThe Wettest County in the Worldという小説。作家自身の祖父を含む3兄弟と、実際の出来事をベースに書かれたものだそう。

舞台は禁酒法時代のアメリカ、ヴァージニア州フランクリンの田舎町。密造酒を売りさばいて生計を立てる3兄弟が主人公。犯罪者なんだけど悪い人間ではないというよくあるパターンですが、人って実はこういうヒーロー像に弱いんですよね。ラッセル・クロウがこういうのはまり役です(エルモア・レナード原作の3:10 to Yoma、リメイク版の無法者役など)。場所が場所ならエリオット・ネスがアル・カポネを取り締まっていた時代に田舎で酒の密造をし、一般人のみならずギャングにまで売りつけるという設定なので当然アウトローもたくさん登場し、暴力で始まり、暴力で終わるわけですが、純粋なる娯楽作品なので、教訓とかメッセージなど求めずにアメリカの田舎を舞台にした時代物の、なんだかゴシックな雰囲気を楽しむ作品かなと思います。

監督は『ザ・ロード』のジョン・ヒルコート。
『ザ・ロード』、人間性とはなんなのかがテーマでものすごく暗く、重いのですが、力強くて素晴らしかった。(これを見た後はそれまで以上に食べ物を粗末にできなくなりました。)
Lawlessはまったく違った作品だけど、やっぱり魅せます。

台本はニック・ケイブ。

見るまでは何の情報もなかったので無の状態で見たのですが、それがよいと思います。
私はこれを見て「えええっ???!!!」って3回驚きました。
何に驚いたかは申しません。

この作品でひとつだけ不満があるとすれば音楽。
場面と必ずしもマッチしていなくて、なんだか軽すぎる印象。『ジェシー・ジェームスの暗殺』の音楽はサントラ買いたいくらいよかったのに同じ面子が担当しているにもかかわらずこちらはなんだか素人がやったみたいな荒削りな印象です。

しかしおもしろいです。出演しているどの役者さんのファンでも楽しめると思います。

※ 原題そのまんまかと思いきや、調べたら邦題は『裏切りのサーカス』というタイトルでした。

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