Thursday, 13 October 2011

青い蜜柑

昔は運動会といえば秋と決まっていた。
そして私にとっては運動会といえば恐怖の100メートル走(鈍足の人間にとってこれ以上に嫌な競技はない)、なぜか得意だった障害物競走、行楽弁当、栗、葡萄、梨、そして青いミカン。

林芙美子の『放浪記』の中に、彼女が何度目かに故郷を離れる時のことを詠んだ詩があり、その中に青い蜜柑を食べて郷愁を覚えるというくだりが(確か)あった(と思う)。それを読んで思い出した、秋に食べる青いみかんとその酸っぱさ。こちらまでノスタルジックな気分にさせられた。
それで昨冬は あー、青いみかん、食べたいなあ とずっと思っていた。

ところで、イギリスでもみかんは手に入る。Satsumaと呼ばれて売られている。
Tangerineだったりclementineだったりとバラエティーはあるけれど、ようするにmandarinで、ようは”みかん”だと受け止めている。Tangerineやclementineは皮がむきやすくて酸味も少なく、私の中ではぽんかんのようなものだ。
ある日「どうして”satsuma”なのだろう?」と夫に向かってつぶやいたら、
「薩摩からの使者がみかんを持参したからとか、そんな理由じゃない?
薩摩の使者薩摩のみかんでごわす。
   西洋人オー!サゥーマ!!
みたいな。」
ありえる。じゅーーーぶんありえる。

先日食材その他宅配サービスのAbel&Coleでこんなのを読んだ私、念願の青い蜜柑が食べられると喜んで注文した。届けられたsatsumaの入った茶色い紙袋をわくわく、ほんとうにわくわくしながら開けたら、入っていたのは普通にオレンジ色のみかんだった。

・・・青い蜜柑の夢、破れたり。テン テン テン


人生は驚きの連続だ。

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