Tuesday, 11 October 2011

日常茶飯事

数年の不在のあと日本に帰国した年、久々に実家の世話になり、それ以上に久々に草むしりをしたときのこと、雑草の根っこについた土のそのむせかえるような大地の匂いにうっとりとした覚えがある。
なんて懐かしい、故郷の香り。小学校でも中学校でも草取りは暑い時期の生徒の仕事で、毎年草取り用の竹べらを作っていかなければならなかったことを覚えている。その頃はただのchoreだった草むしりが大人になってやったら楽しかった。

夕食の後片付けを済ませたある日、床がベタベタしている気がして不要な布切れと木材磨き用のスプレーを手に台所の床磨きを始めた。その瞬間よみがえる、懐かしいような感覚。雑巾2枚も新学期になると持っていかなければならないもののひとつだったな。雑巾を使って掃除をするって毎日のことだった。
ベタベタだったキッチンの床も端から拭いていけば終わる頃には隅々までサラサラ、つやつや。雑巾がけって楽しい。だから木の床が好きだ。

ここでは電気湯沸かし器が一般的だけれど、私はホウロウのポットでお湯を沸かすのが好きだな。

トースターが壊れたときは、バザーで20ペンスで買った新品の焼き網を引っ張り出し、しばらくそれでパンをトーストしたけれど全然苦にならなかった。

窓が二重になっていない息子の部屋は冬冷える。エネルギー節約のためにも、この冬は暖房だけに頼らず毛布を足すべしと思っていたらチャリティーショップで状態の良いウール100%の毛布を£4.99で発見。ドライクリーニングに出す前に、お日様がかんかんのある秋の日、バスタブで足踏み洗いして干したら数時間で乾いた。やはり水にくぐらせて洗うと毛布も気持ちが良い。

日の短い時期は暗くなるとキャンドルを灯すことが多い。ゆらゆらと揺れる炎に心が和む。

母のミシンは足踏みミシン。彼女のお嫁入り道具のひとつで、あと数年もすれば半世紀経とうかという今も、それは現役で使われている。子供の頃は家庭科で使う学校の電子ミシンが羨ましかったものだけど、今は電気も使わずに動かすことのできるそのミシンが誇らしく思える。最近縫い物をすることが多いので、うちにあのミシンがあったらなあと思う。でもないので、いつも手縫い。最近はカーテンを縫った。なかなかの出来で、満足。

日々の雑事も好きな道具で、自分にとってちょうど良いペースでやると楽しいものだ。

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