母の手作りのゆず胡椒が届いたのは1月半ばを過ぎた頃。
送付されてからひと月以上も経っていたのであきらめかけていた頃だった。
大雪の混乱とクリスマスの混乱でイギリスをさまよっていたか、もしくは保管庫に置き去りになっていたのか。
とにかく無事対面できてとても嬉しかった。
いつだったか電話で母と話したときに ゆず胡椒が欲しいなあ と言ったら、ゆず胡椒なら手作りしているからそれを送ってあげると言うので、実はあんまり期待せずにお願いしたのだ。
それからしばらくして 送ったから という連絡があり、ちょうど里帰りしてその場に居合わせた妹からの便りには、こんなイラストが描いてあった。
完全防備で棒を持ち、おとなりのナオミツさんちにたわわに実るゆずをいただきに参上する母の図。
”たわわ” の部分は私の想像。
でもそんな新鮮なゆずから、上の鮮やかな橙色のゆず胡椒はこしらえられたわけなのだ。
蓋をひねると ぺこん と音がして、鼻を近づけるとなんともいえぬ香りが鼻腔をのぼる。
ひと匙すくってお味噌汁に入れると1メートル離れていても香ってきた。
地球の反対側からはるばるやってきて、この豊かな香りとほどよい辛味。
ゆず、すごいぞ。
母、ムチャスグラシアス。
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